パチンコ「1回の大当りで3千発オーバー!? 新天地で出会った大量出玉マシン」 【アニマルかつみの銀玉回顧録 Vol.012】
アニマルかつみの銀玉回顧録 Vol.012
前回、平成元年の秋にバンドのライヴで訪れた東京・目黒でのエピソードを綴らせていただいたのだが、その少し前、夏の終わり頃だったか。私生活の方で、ちょっとした転機があった。
肩身の狭い実家での居候暮らしから脱し、大阪市内のワンルームマンションで彼女と同棲を始めることになったのである。
その彼女とは、前年秋の東京のライヴ会場で知り合い、いわゆる遠距離恋愛な付き合いをしていた。夜ごと長電話をしているうち、互いに月の電話代がえらいことになることも多々あって、「だったら、こっちへ来て一緒に暮らそうや」と呼び寄せた次第。
さて、二人の住処に選んだのは、大阪市西部はベイエリアの此花区。いまでこそ、某テーマパークのある街として知られているが、当時はただただ空気もガラもよろしくない湾岸の煤けた工業地帯だった。
最寄り駅は、阪神電車西大阪線(現・なんば線)の千鳥橋駅。駅前には、四貫島商店街という下町風情あふれるアーケード商店街があり、当然のことながらパチンコ店も数軒あった。
大通りに面した商店街の入り口にあるS会館は、界隈でもっとも規模が大きく、造りも新しいホール。それを横目にアーケードに入ると、右側にN店があった。S会館とは対照的に昔ながらの小さなパチンコ屋だった。
N店の向かいには、1.5号機『トロピカーナ7X』だけを置くFという小さなスロ専があった。引っ越すちょっと前にパチスロを打ち始めたのだが、トロピは技術介入性が高いプロ御用達のマシンというイメージが強く、駆け出しの素人が手を出すのは、ちょっと気が引けた。
スロ専Fの先にある角を左にアーケードを出ると、Cホールというこれまた昭和なムード満点の店があった。店内に入ると、「昔のパチンコ屋の臭い」が鼻をつき、たちまち頭がクラクラした。
アーケードに戻り出口の方に進むと右手にもう1軒、Hという店があった。結果からいうと、この街で暮らした1年余月の間、このH店にだけはほとんど足を踏み入れることがなかった。他の店と比べて客付きが悪く閑散としていて、なんとなくイメージが宜しくなかったからだ。
以上の5軒に加え、大通りを渡った向こう側に1軒、マンションから駅と反対の方向へ行ったところの春日出商店街に2軒のホールがあった。
1回の大当りで3千発!? 新天地で出会った大量出玉マシン
さて、どの店を新たなホームグラウンドと定めるか。引っ越してからしばらく、各店舗を回遊する日々が続くわけだが、同じマンションに住んでいたバンドのギタリスト、ノリオのすすめで、まずはN店に落ち着いてみることにした。
先述のとおりN店は昔ながらの小さな店で、パチンコ・パチスロ合わせて100台ちょっとしかなかった。が、とにかく活気と熱気があった。客付きがよく出玉感があることに加えて、店員の煽りマイクが凄まじかったのである。
そんなN店の人気機種で自分もよく打ったのが、モナコ(奥村遊機)のデジパチ、『ドリームW』である。
当時の最先端の図柄表示装置であるドットマトリクスを搭載した本作、東日本では兄弟機の『ドリームX』が人気で雑誌にもそちらの方ばかり取り上げられていたが、朝イチ出目や図柄の数が異なるだけで、大当り確率など仕様はほとんど同じだったと記憶している。
なぜ、N店でこの『ドリームW』が人気だったかというと、とにかく出玉が多かったということに尽きる。
当時のデジパチは俗に「2000発機」と言われるもので、アタッカーだけだと1300発が上限のところ、開いたアタッカーの端にあたるなどして左右下部に設けられたオマケチャッカーへ玉が入ることで、おおむね2千数百発程度の出玉が期待できた。
『ドリームW』の場合、アタッカー開放時間が25秒と比較的長めだったので、オマケへ寄せた調整にしてアタッカーを目一杯開放させることにより、3千発を余裕で超える出玉が可能だったのである。
補給が追いつかず、大当りが終了してもしばらくの間、玉が「ちんじゃら」と出続ける。それを「さて、今回は何発あるかな」とほくそ笑みながら、ゆっくりとドル箱にかきだす。なんとも至福の時間であった。
次回は、お隣のS会館での思い出などを綴ってみたい。
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