パチンコ界を代表する不動の人気タイトル…その伝統を覆した偉大なる名機を振り返る
『海物語』。言わずと知れたパチンコ界の「顔」となる機種であり、もっとも有名なパチンコ台である。登場から20年以上経過した現在でも業界を牽引している唯一無二の存在である。
そのイメージは「安定感」や「シンプル」、「老若男女を問わずに打てる」といったものがあるが、これはひとえに同タイトルが持つスペック的な特徴の言語化でもある。
『海物語』とはいえば次回ループで当れば2000発のゲーム性とミドルタイプになる。その後、『スーパー海物語』で当時勃興してきた甘デジが登場するまでは前述のスペックタイプにこだわりを見せ、甘デジ以後はこれと2枚看板でやってきた。
しかし、2010年に革命が起こる。『CRスーパー海物語IN沖縄 桜』の出現である。本機では確変システムにST機能を採用し、次回ループの伝統に楔を打ち込んだ。そして、意外にも(開発陣からすれば読みどおりだろうが)パチンコファンから大きな支持を得たのである。
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ST中でも通常モードの演出がメインとなるが、残り10回転からは「カウントダウンモード」と呼ばれる専用の演出がスタート。画面に大写しにされる桜の花びらの色によって期待度が変化。ほかにも「桜吹雪リーチ」などここでしか見られないデジタルアクションが存在する。
そして、残保留1個目で「ワンモアチャンス」という引き戻し演出が搭載されている。チャンス目が停止すると激アツで、ボタン連打で図柄が揃えばST復帰となる。ちなみに、リーチが成立した場合は大当り濃厚。
このような変革に対し、新たな層はもちろんのこと、保守層が大多数を占めていたと思われる『海物語』ファンも好意的に受け止めた。これをきっかけに『海物語』は多様性を拡大していくのだが、とにかく『沖海 桜』は人気を獲得した。
特に、これまで『海物語』にラインナップされていなかったライトミドルタイプは大きな反響を得ていた印象。『CRスーパー海物語IN沖縄 桜』には『マックス』『ビッグ』『ライト』の3種類が用意されていたが、『ライト』のトータルバランスの良さが抜きん出ていたのである。
大当り確率が1/398.5となる『マックス』では重すぎる。右打ち中は約3/4で16ラウンド大当りとなる『ビッグ』はST回数が8回転とせっかくの新機能を思う存分楽しめない。そんな構図がファン心理としてあったのであろう。
その『CRスーパー海物語IN沖縄 桜ライト』のスペックは、大当り確率が1/198.5で大当りすれば必ずSTに突入する。ST回数は31回転で継続率は約74.3%、ST終了後の時短はない。出玉のメインは8ラウンド約800発で7割近くがこの当りになる。
当りやすく、連チャンにも期待できて1回の出玉のボリューム感も充分。この完璧なトライアングルに多くのファンが神スペックと称賛を与え、ライトミドルタイプの『海』シリーズで1番だとする声も多い。『海物語』を変えた一台といえよう。
(文=大森町男)
<著者プロフィール>
羽根物によってパチンコの魅力にとり憑かれ、パチンコ雑誌を製作する編集プロダクションに入社。パチンコに関する記事作りや編集業務に携わる。編集長としてファン雑誌の制作に取り組むなどの経験を活かし、その後は携帯サイトやweb、動画コンテンツなど幅広いパチンコメディアに従事。現在はフリーランスのパチンコライターとして活動。パチMaxを中心に消極的に執筆の場を広げている。