パチンコ店「最新台を一瞬で破壊」の危機!? 忘れられぬ恐怖とは…

　今回は私がアルバイトで、新台入替のパチスロ遊技機の取り付け設置作業に行った際の失敗談です。

　まだ4号機時代だったと記憶しておりますが、その頃の私は遊技台の取り付けに関してはまだまだ不慣れだったのでした。

　とはいえ傾斜のあるパチンコ台の取り付けとは違い、ビスで4箇所ほど固定するだけの作業なので特別な技術が必要な訳ではありません。手慣れた作業員であれば、撤去台の取り外しから新規設置台の取り付けまで1台あたり5分や10分もあれば十分にこと足ります。

　配線も基本的にハーネスの抜き差しだけなので非常に簡単。その点でもパチンコ機と比べ作業がスムーズに進むのは間違いないのですが…。

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　ある晩の新台入替の設置作業中のことでした。どちらかといえば不器用な私がパチスロ台の取り付けを終わらせ、動作確認のため電源コードをコンセントに差し込んだのです。

　しかしながら、パチスロ台には何の反応もありません。何度かコードを抜き差ししますが、遊技台はうんともすんともいわず。そこで先輩作業員に声をかけ、確認してもらうことにしたのです。　

　すると、パチスロ台の目の前に立った先輩作業員から発せられた意外な言葉が。「コゲくさいな」。　

　その瞬間、私は青ざめました。そして気づいてしまったのです。24V電源のコードを100Vのコンセントに差し込んでしまったことを…。　本当に嫌な汗が流れてきました。と同時に放たれた「これ24Vなのに直で差しちゃったでしょ？」という先輩からの言葉。「ハッ！ そうだった!!」と気づくも後の祭り。　

　家庭用コンセントの電圧は100V。しかしパチスロ台には100V電圧と24V電圧の2種類があり、24Vの場合にはトランス（変圧器）を使用する必要があったのです。　

『電源には気を付けろ』と重々いわれていたのにも関わらず、それをうっかり忘れていた私は何も考えずコードを差し込んでしまい…遊技台をショートさせてしまったのです。

　酷く動揺し謝罪すら忘れていた私でしたが、先輩は至って冷静で何処かに電話をしている様子。我を取り戻し先輩に謝罪をすると、「たぶん大丈夫だから他の作業をしていて」といわれ状況も分からず作業に戻る私。

　すると1時間くらいして休みを取っていた別の先輩作業員が店内に入ってきたのですが、その手には何やら大きな部品が。そして手際よく故障した台の修復作業に取りかかり、コードを差し込むとパチスロ台が立ち上がったのです。

「奇跡！ 助かった…」本当にそんな心境でした。その部品というのが電源ボックスだったのですが、それを丸ごと交換することで遊技台は見事に復活したのです。　

　正に九死に一生を得たような気持ちでした。もしも直らなければ、お店にも会社にも多大な迷惑をかけますし、1台の新台パチスロ機を弁償ということになれば当時でも30万円以上という高額な価格でしたから。本当に焦ったことを思い出します。　

　これ以降、電源コードを差す際はひたすら慎重になったのは申し上げるまでもありません。振り返っただけで冷汗が出てくる…本当に忘れられない失敗でした。

（文＝電撃しらっち）
<著者プロフィール>
業界歴30年。遊技機販売業など様々な業種を経験し、現在はライターとしての活動にも力を入れている。レトロパチンコ・パチスロの実戦記事や、業界関係者への取材記事も担当。羽根モノや一発台を特集するなど、オールドファンにも響く内容も積極的に作成している。