かつてのパチンコは「親子で楽しむレジャー」だった? 昔のパチンコ屋は○○だった話~前編~【アニかつ・濱マモルの回胴酔虎伝Vol.040】
自他共に認める回胴界きっての呑兵衛ライター、アニマルかつみと濱マモルが、お酒を酌み交わしながらパチスロ(時にパチンコ)にまつわる話を繰り広げる本企画。今回は、「昔のパチンコ屋は○○だった話」と題し、いまでは考えられないパチンコ店の様子やそこで起こった出来事などを、お二方に語っていだくとしよう。
■かつてのパチンコは親子で楽しむレジャーだった?
──アニかつさんは、コラム『銀玉回顧録』の方でご自身のパチンコとの馴れ初めや昔のエピソードなどを綴っていただいてますが、意外と本格的に打ち始めたのって、遅かったんですよね。
アニマルかつみ(以下、アニ):
そう。日常的にパチ屋に出入りするようになったのは、平成に入ってからなんですよ。ただ、それまでにも時代の節目節目でパチンコがブームになった時には幾度となく、周りのパチンコ好きに誘われて打つことはあったけど。
濱マモル(以下、濱):
かつみさんの年齢だと、やっぱ元祖ハネモノの『ゼロタイガー』はリアルに体験してたりするんですか。
アニ:
そうだね。ちょうど高校にあがった頃だったか、友達の間でブームになってて。「ゼロ戦、面白いから打ちに行こうや」ってね。まぁ、お小遣いも少なかったし、なによりバンド活動に熱中したから、たまに付き合い程度に…ね。濱ちゃんが打ち始めたのは?
濱:
アタシも平成に入ってからです。たぶん、かつみさんと同時期くらいじゃないですかね。
──年齢的に、だいぶ早いような気がしますが。
濱:
まぁ…そうですね。「十代の学生の頃」ということにしておきましょうか。
アニ:
昔のパチ屋は、色んな意味でユルかったからね。さすがに、学生服を着て行ったら怒られたけど、私服だったら大目に見てくれた。
濱:
子どももいっぱいいましたね。アタシの家の近所には当時、2軒のパチ屋があったんですが、どちらも地域密着型な感じで。近所の人がよく、親子連れで来てました。
──いまは「18歳未満入場禁止」ですが、昔は黙認されてたんですね。
アニ:
昔から建前上はそういうルールが一応あったんだけど、親が同伴だったら黙認されてた。打ってると、なんか足下がごそごそするのね。そしたら、小さい子どもが床に這いつくばって、落ちてる玉を拾い集めてたり…。
濱;
玉拾いしてる子ども、多かったですよね。だいたい、ダメオヤジなお父さんに「拾ってこい」って言われてやってたんでしょうけど、拾い集めた玉で遊んでる子も少なくなかったですね。
アニ:
自分なんかと同世代の人に聞くと、「物心ついた頃に、父親に連れられて…」って話は、少なくないもんね。あと、ペットのワンちゃんを隣の空席に座らせて打ってるマダムとかも、よく見かけた。
──えーっ、愛犬を連れてパチンコを…ですか。
アニ:
そうそう。もちろん、昼下がりで空いてる時間帯とかに…ね。まぁ、子ども連れに関しては、誘拐事件とか車内放置とかの問題もあって、いまはもう完全にアウトになっちゃってるけど。
■「大人だけに許された空間」ってイメージ
濱:
ぜんぜん話変わるんですけど、アタシ、打ち始めた頃って三店方式のこと知らなかったんですよね。地元の悪ガキ連中と「よーし、景品を取りに行くぞ」って感じでした。
アニ:
そうなんだ。確かに昔は、テレビのドラマやアニメの中で、景品の入った大きな茶色い紙袋を抱えて「いやぁ、今日はよく出たなぁ」って言いながらパチ屋から出てくるシーンがよくあったもんね。
濱:
そうなんですよ。だから、パチンコはそういうものなんだと。
アニ:
自分の親はパチンコとか一切やんなかったんだけど、一歩外に出たら遊び好きのオトナたちがいっぱいいたから。幼い頃からなんとなく、「パチンコは出せばお金になる」ってことはわかってたな。
濱:
へぇ、そうなんですか。
アニ:
裏口の脇のところに小さな小屋があって、そこにパチ屋から出てきた人たちが並んでてて、怪しげな小窓を通して中の人と何やらやり取りをして、お金を数えながら去ってゆく…そんな光景を、よく見かけてたから。
──そこでパチンコに対する興味とかは沸かなかったんですか。
アニ:
…は、なかったね。夜になるとネオンがギラギラして、なんか怖そうなおじさんたちが出入りしてて…なんとなく、「大人だけに許された空間」ってイメージがあった。母親もよく、「パチンコ屋は変な人がいっぱいおるから、行ったらあかんで」ってね。大人になってパチ屋通いを始めてからも、「大丈夫なん? 気ぃつけーや」と、よく心配された。
濱:
昔の尼崎って、ヤバいイメージしかないですね。パチ屋も、相当にヤバい人たちばかりだったんじゃないですか。
アニ:
自分が生まれ育ったのは、そんなにゴリッゴリにヤバいエリアじゃなかったんだけど。確かにパンチの効いた人はパチ屋には多かったね。客も店員も、総じてパンチが効いてた。でも、面倒事に巻き込まれることはなかったな。ルールを守って大人しく遊んでる限りは、何も起こらなかったよ。
■どこか牧歌的でのんびりした感じだった
──お二方とも平成初頭から本格的に打ち始めたということで、当時は主にどんな機種を打ってましたか?
アニ:
やっぱ、ハネモノだね。当時はまだデジパチや一発台の設置規制もあって…だいたい6割から7割くらいハネモノだった。
濱:
アタシも、最初はもっぱらハネモノでした。三共の『道路工事』とか平和の『ブンブン丸』とか好きでよく打ってました。
アニ:
当時は、機種というか種別ごとに客層が違ってた。昼間っから一発台を打ってる人って、それこそ「ヤ」の付く自由業の方か、ちょっと金銭感覚のおかしい人ばかりで。ハネモノのシマとはムードもぜんぜん違ってて、ちょっと近寄れなかった。
濱:
パチスロコーナーもヤバかったですよね。そういえば当時、アタシの通ってた店は、みんなカウンタで千円ずつメダルを借りてましたね。
アニ:
自分がパチスロを打ち始めた頃も、よっぽど新しいお店にしか台間サンドはなかった。カウンタに借りに行くか、シマの端にあるメダル貸し機に行ったり来たり…って感じだったな。
濱:
いま考えると、ほんと面倒でしたね。
アニ:
…だね。まぁでも、当時はそれが当たり前だったから、苦とも思わなかったんだけど。ともかく、今と比べるとどこか牧歌的でのんびりした感じだったよな、昔のパチ屋って。
濱:
…ですね。まぁでも、そんな中、たまーに香ばしい出来事があったりして、それが面白かったんですよね。
〇〇〇
お酒が進むにつれ、昔話にどんどん熱が入っていくお二方。次回は、さらにディープでパンチの効いた、昔のパチンコ店であった様々な出来事について披露していただく予定だ
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