パチスロ必勝ガイド連載実現へ挑んだ「盟友」との思い出【濱マモルの のほほんコラム~Vol.97~在りし日の頭突き勝負~】
初めて仕事で絡んだ日はいつだったのか、正直、忘れてしまった。確か、誌面でガチプロとして顔を伏せて登場するうち、ライターへと転身したように記憶している。
先輩は神で、後輩はゴミ。それをモットーとする彼とは、誕生日が4日しか違わない同い年ながらもキャリアとしてはアタシの方が先輩であり、常に「さん」付けで呼んでくれるだけでなく、何かにつけてアタシを立ててくれた。
もちろん、ゴミとは言いながらも、後輩にもフレンドリー。上下関係に厳しいだけに、後輩との飲みの席では金が無くとも奢り続けていたと聞く。
彼とは、パチスロ必勝ガイドの誌面で連載を持とうと、一緒に企画を考えた時期もあった。こまめに連絡を取り合い、妙案が浮かべば、その都度、合流して打ち合わせ。ようやく連載を掴み取った時は喜び合ったものだが、その連載は不人気過ぎたのか、残念ながらわずか3回という異例のスピードで打ち切りを迎え、結局、打ち合わせという名の飲みの回数の方が多かったのも、今となっては良き思い出である。
スーツをユニフォームとすることで活路を見出した彼は、どうすれば読者や視聴者に楽しんでもらえるかと、いつも考えていた。その気持ちのアツさから、稀に考え方の違いでぶつかったこともあり、一度だけ大乱闘に発展したこともあった。
きっかけは、些細なことだったと思う。お互いに意見を言い合っていたのだが、酒が入っていたこともあり、どちらからともなく掴み合いに。店を出た後もいがみ合いは続き、最終的には新宿歌舞伎町のど真ん中で、全力で頭突きし合ったことを鮮明に覚えている。翌日は、少したんこぶができていた。
そんな彼が、病に侵されてしまった。「そんな薄い確率、ここで引かなくてもいいのにな」。かなりレアな箇所でのガン発症とのことで苦笑いした彼はサシ飲み時、「どうせパチンコ・パチスロは斜陽産業だし、そんなに仕事もないし、結婚も2回したし、未練はないんだけどね」と語ったが、振り返れば、それは両親をガンで亡くしたが故に病状を心配しまくったアタシへの配慮だったのかもしれない。
「俺の方が石頭だから」。大乱闘の後日、何事もなかったかのように酒を酌み交わした我々は、どちらの方が頭が堅いのかを、過去のエピソードを交えて張り合った。「また、いつか勝負しようぜ」と笑い合ったものだが、もう、それは叶わない。二度と頭突き対決はできなくなってしまったのである。
ただ、今だから白状すると、あの頭突きは過去の誰よりも効いた。そっちの世界でも、頭突きチャンピオンに君臨し続けてください。おつかれさまでした。
(文=濱マモル)
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