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パチンコ「デジパチの未来を提示した史上初の液晶搭載機」【アニマルかつみの銀玉回顧録 Vol.018】

パチンコ「デジパチの未来を提示した史上初の液晶搭載機」【アニマルかつみの銀玉回顧録 Vol.018】の画像1

アニマルかつみの銀玉回顧録 Vol.018

 前回、平成初頭に巻き起こったデジパチ連チャン機ブームの立役者である三共(現・SANKYO)の『フィーバーレクサス』シリーズについて綴らせていただいた。

 同シリーズは、強烈な連チャン性や「朝イチ単発回し」による連チャン誘発打法で攻略情報誌の誌面を大いに賑わせ、自分自身もずいぶんとお世話になったわけだが、フィーバー機の命ともいえるドラム(リール)の制御にパチスロ機でお馴染みのステッピングモータを採用し、同社のデジパチとしては初めてリーチアクションを実現した点でも、歴史に残る大きなエポックとなった。

 多方、競合メーカーのデジパチにおいては、長らく汎用部品を用いた赤1色あるいは赤・緑2色のシンプルな7セグデジタルが図柄表示装置の主流であったが、前にも書いたとおり昭和の終わり頃から、カラフルな多層発光版(平和の『レーザースペーシー』シリーズ)や「デジスロ」と称するドット・マトリクス(大一の『ニュービッグセブンpart4』)などのニューアイテムが次々と出現。デジパチ人気に拍車をかけた。

 そして平成元年の秋。またしても斬新かつ画期的な図柄表示装置を搭載したデジパチが、業界大手の平和からリリースされる。史上初の液晶式デジパチ、『ブラボーエクシード』である。

■ブラボーエクシード 

パチンコ「デジパチの未来を提示した史上初の液晶搭載機」【アニマルかつみの銀玉回顧録 Vol.018】の画像2 液晶といっても、電卓のデジタルを大きくしたような単色の固定セグメント表示。近年のデジパチが搭載する大型フルカラービジョンとは似ても似つかぬシロモノだったが、ブルーのバックライトに数字が浮かんで見える様は息を呑むほどに美しく、当時としては極めて画期的かつ近未来的なそれは、見る者に大変なインパクトを与えた。

パチンコ「デジパチの未来を提示した史上初の液晶搭載機」【アニマルかつみの銀玉回顧録 Vol.018】の画像3 大当り図柄は0~9の数字と$の計10種類で、大当り確率は210分の1。当時のデジパチでは比較的、高い部類だった。

 大当り1回あたりの出玉は調整にもよるが、当時よく打っていた近所のCホールの場合は、だいたい2000発+α。他の店でも同程度で出玉は控えめな印象だった。確率が高めだったことに加え、1ラウンドあたりのアタッカーの開放時間は18.5秒と短めで、なおかつアタッカーへの誘導ルートが辛めだったため、あまりオマケへ寄せた調整にするとパンクの危険性があったからだろう。

 なお本作には、大当り図柄が15種類に増え確率が225分の1となる『~Ⅱ』、アタッカー周辺のゲージ構成が改善された『~Ⅲ』といった兄弟機が存在したが、いずれも設置は少数にとどまっていたようで、個人的にはほとんど見た記憶も打った記憶も無い。

 連チャン機ブーム真っ只中に登場したこともあって、当然のことながら本作にもデビュー当初から連チャン性の有無について注目が集まった。が、高確率がゆえ時に短いスパンで大当りが連続することはあったものの、システムとして仕組まれた保留玉連チャンの存在は、実戦上からもプログラム解析の結果からも否定された。

 ちなみに、攻略情報誌が連チャン性の有無を調査している段階で、連続回転中において出目の移行法則が存在することが発覚。攻略に結びつくことはなかったものの、「次の停止出目を予言して、隣のおじさんを驚かせよう」などといった記事が掲載され、話題を集めた…というか、笑いを誘った。

パチンコ「デジパチの未来を提示した史上初の液晶搭載機」【アニマルかつみの銀玉回顧録 Vol.018】の画像4 ともかく本作は、同時期に西陣からリリースされた『ファンキーセブン』とともに、デジパチの未来を予見させる先進的な図柄表示装置が注目を集め、流行りの強烈な保留玉連チャンやそれを誘発させる打法が無くとも大人気となった。現に自分自身も、単純に「新しくて面白い」という理由で、これら2作をよく楽しんだ。

 なお、『ブラボーエクシード』で初めて導入された単色液晶はその後、西陣の『アラシキング』や京楽の『ニュートランプエース』といった競合他メーカーのデジパチにも採用され、ドラム、7セグ、ドットに続く第4の図柄表示として普及してゆく。

 そして当の平和は、規則改正による新体制へ移行した平成4年、史上初となるカラー液晶ディスプレイを搭載した『麻雀物語』をリリース。強烈な連チャン性もあって大人気となり、デジパチ界に一大ムーブメントを巻き起こすのであった。

パチンコ「デジパチの未来を提示した史上初の液晶搭載機」【アニマルかつみの銀玉回顧録 Vol.018】の画像5

アニマルかつみ

アニマルかつみ

兵庫県尼崎市出身。1992年春にパチスロ必勝ガイドのライターとなり、以来30年にわたってメディア人の立場から業界の変遷を見つめてきた大ベテラン。ぱちんこ・パチスロの歴史に関しては誰にも負けない博識を持つ。最近ではYouTube動画チャンネル「ぱち馬鹿」のメンバーとして、各種企画の制作や出演、生配信などにも精を出している。ライター稼業のかたわら、ロックバンドのベースプレイヤーとしても活動中。愛猫家。昭和レトロ好き。

Twitter:@anikatsu213

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